届きそうで届かない話
追いかけても 追いかけても
逃げていく 月のように
指と指の間をすり抜ける バラ色の日々よ
THE YELLOW MONKEY 『バラ色の日々』
次第に夜が長くなってきた9月。いかがお過ごしですか?
求めれば求めるほどに、欲しいモノは遠ざかっていく、というのは、世の常というもの。
遠く彼方の青春の日々や、結婚当初の初々しさ、目の前にあるソファークッションだって、手を伸ばしても届かないのである。
先日、娘氏の顔にタオルをかけて、「あれ!?前が見えない!!」と困惑するゲームをしていた。しかし子供の成長とは恐ろしいもので、ものの2、3分で、タオルをあっさりはがすようになり、5分後には冷たい視線を返すようになってしまった。仕方がないので困惑ゲームを終了し、娘氏観察ゲームを始めたところ、すぐにうつ伏せになり、涎を精製、排出し始めた。
ここまでは普段の娘氏であったが、少しすると腕を巧みに使って、前進するそぶりを見せるではないか!下僕としてこの瞬間を写真に収めなくては!と思い、五十枚ほど写真を撮ったあと、どうしても前進する姿がみたくなった。考えたあげく、娘氏お気に入りのソファークッションを餌にして、前進させることにした。
娘氏は必死に手を伸ばしクッションに手をかけんとする。しかし届かない。それもそうだ。前進せねばとれない位置にクッションをおいているのだから。
必死に手を伸ばし、クッションを求める娘氏。その努力が実り、ついに手のひら一つ分ほど、腕を前につくことに成功した。あとは前進するのみ!そう思われた瞬間、娘氏の体はゆっくりと後ろに動き出した。
発育段階に置いて、はいはいの前に後ずさりをすることがあるそうだ。娘氏は後ずさることを覚え、同時に人生の辛酸をなめたのであった。
しかし娘氏よ、イエモンはこの後こうも歌っている。
砂漠の荒野に倒れても 長い鎖につながれても
明日は明日の風の中で飛ぼうと決めた
バラ色の日々よ バラ色の日々よ
娘氏よ、これからもチャレンジ精神をたぎらせて、成長してくれ。