ぼくログ

娘の愛らしい日々を父の目で書いています。

育児二軍コーチに就任した話

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秋の夜長、いかがお過ごし?

我が家の就寝時のスタイルは、娘を真ん中に挟んだ川の字である。これの利点はなんといっても、娘氏の無防備な寝顔を眺めながら眠りに落ち、娘氏の愛らしい笑顔に迎えられて目覚められることである。ただしこの世の常は一長一短。デメリットも存在する。

娘氏が目を覚ました。夜中の三時であった。初めはか細い鳴き声だったが、次第に声量は増し、リサイタルの様相を呈してきた。

娘氏なりの必死の言葉は、しかし、ワタシの耳には呪文にしか聞こえない。君の言葉を受け止められない父を許してほしい、と思いながら、心の内では

嫁よ!娘氏が呼んでいるぞ!

と叫んでいた。

しかし、5分経てど10分経てど、嫁が目覚める気配はない。薄目を開けて隣で眠る妻を確認する。常夜灯に照らされた妻の横顔はまさにト〇ール。口元はたいそう緩み、目元にはうっすらとしわも刻まれていた。

あぁ、日々苦労をかけているのだな。そう思うといたたまれない気持ちになったワタシは、自分のココロに発破をかけた。

眠い目をこすり、リサイタル続行中の娘氏を拾いあげる。

抱きかかえられた娘氏は、突然視界が開けたことにテンションが上がったようで、しきりに私ののどぼとけを平手打ちしてくる。そんな娘氏をあやそうと体を揺らすワタシ。その動きをモッシュと勘違いし、リサイタルはアンコールに突入した。

待てど揺らせど寝入るそぶりを見せない娘氏。すでに朝の四時を過ぎようとしている。テンションはまさにうなぎのぼり、いや鯉の滝登りを連想させる。このままでは、娘氏は天才に進化してしまうかもしれない。そんな不安が頭をよぎったとき、娘氏が今朝一番の奇声を上げた。

とてつもない声量は嫁の耳にも届いたようだった。

こっち連れてきて

さも、ワタシが嫁の眠りを妨げたかのような口ぶり。心外であったが、今の嫁には取り付く島もなさそうだ。

娘氏を嫁のもとに連れていくと、乳を放り出しスタンバイしている嫁の姿。言われた通りに娘氏をセットする。

嫁の乳にむしゃぶりつく娘氏。さすがワタシの子。むしゃぶりつき方がどことなく似ている。授乳を始めて約3分、娘氏は寝息をたてていた。今日のリサイタルはよほど出来が良かったのである。どこか誇らしげな寝顔だった。

続いて放り出した乳を片付けもせず、嫁も寝息を立て始めた。ベッドの横でその様子を眺めていたワタシは、気が付けば一人ぼっちにされていた。

男は育児において、二軍である。しかも監督ほど花形でもない。その虚しさを噛み締めたAM5:00だった。